精神疾患で休職していた社員が復帰することになったとき、企業側が気をつけるべきことをまとめています。
回復期をどう過ごすか、という問題はその人の今後の人生を左右する大きな問題です。
会社としても単に「一人社員が戻った」と捉えるのではなく「必要なケアをしっかりしよう」という気持ちで迎え入れて欲しいと思います。
「完治した」と思わないこと
無理のない範囲で働くことを徹底する
「鬱は治りかけが危ない」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
休職期間が限られていたり、いつまでも休んでいては居場所がなくなるという不安により、完治を待たずに職場復帰する人も少なくありません。
復帰する社員が休職前と同じペースで働けることはまずないでしょう。
本人が働けると豪語したとしても、それは当人の責任感や申し訳なさから出た発言だと捉えて、無理をしないよう仕事量もそっとコントロールしてあげてください。
回復期は調子が良い時もあれば、悪い時もあります。このことは絶対に忘れないでください。
昨日は元気だったから今日はもう少し仕事を任せてみようという考えは少々気が早いです。
10日や1ヶ月などある程度まとまった期間安定して働けていることを確認したら、他の仕事も少し任せてみる。またまとまった期間安定して働けるようになったら次のステップへ、という風に小さく小さく段階を踏んで、完全復帰まで導いてあげましょう。
頑張りすぎを止める命綱役を用意する
復帰した社員は気持ちとして会社に後ろめたさを感じていることが多いです。
迷惑をかけた分、頑張って働かなければという思考になるのは自然なことでしょう。
しかし、まだ調子の波の変動が普通の人よりも大きい状態です。
無理して働いてしまった結果、再発を招くような事態を防ぐためには企業側で命綱を握る役割を用意すると良いでしょう。
命綱役とは「今日はここまでにしよう」「これは急いでないから今日はもう退勤でいいよ」と意識的に声をかけてくれる存在です。
無理していないか・不安や悩みを抱えていないかといった繊細な変化を察知して、相談に乗ってくれたりストップをかけてくれる人がいるというのは回復期にいる人間にとってとても心強いものです。
命綱役を用意せずとも、周囲の社員全員が心配りできればベストですが、仕事が立て込んで人のことを構う余裕がない職場などでは、命綱を持つタスクを特定の社員に仕事として割り振る方が良いでしょう。
残業文化が根強く残っている企業は特に、周りが残っているから帰り辛いと無理してしまう傾向があります。
「もう定時だから帰ろう」の一言だけでも良いので声かけをしてください。
適材適所の人員配置になっているか
復職した社員に任せる仕事は何が適しているか、本人とも相談の上で復帰する部署から業務内容まで慎重に検討すべきです。
休職前と同じ部署で、同じメンツで、同じ業務が適していることもあれば、休職前と違う業務内容の方が負担が少ないこともあります。
これは単純に簡単な仕事を与えればいいという話でもないのが難しいところです。
単純作業に向かない人なら、業務の負荷が軽かろうと苦手な作業を強いられることにストレスを感じてしまいます。
明るい人だから賑やかな部署に向いているだろうと考え配置すると、当人はまだ本調子でもないにも関わらず周囲のノリに無理に合わせた結果疲れてしまうといったことも起こりえます。
復職してくる社員は日常生活は送れるが、人よりもまだまだ不安を抱えた状態にあることを理解してください。
休職前のその人を基準に会社側が仕事を与えるのではなく、今のその人の状態と希望を元に最適な業務を一緒に考える姿勢を取ってもらえると復職する側も心強いでしょう。
世の中そんな優しい会社ばかりではない
私自身は精神疾患を患ったとき、会社に見切りをつけて休職も取らず即座に退職を選んでしまいました。
疾病手当も貰えていなかったため、完治していない状態で次の職場を探さなくてはいけませんでした。
しかし、まだ完治していない人間を社員として雇ってくれる優しい会社は世の中にそうそうないんですよね。
今この記事を読んでくださっている貴方がもし復職を受け入れる側の人間なのだとしたら、そこに戻れる方は本当に幸せな方だと思います。
私の肌感では完全復帰まで1,2年くらいかかりました。どうか長い目で見守って欲しいと思います。
もしこれを読んでいる貴方が復職をする側の人間なのだとしたら、伝えたいことはただひとつです。
ムリしないで。思うように働けなくてもそれが普通だから、ゆっくりいきましょう。
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